『怪談』を、梅田ピカデリーで鑑賞。
げに怖ろしきは、人の心。
まだまだ残暑厳しい日が続く今日この頃。蒸し暑い日本の夏には、かき氷と蚊取り線香と怪談が良く似合うのだ。てなことで、行ってきたのがJホラーの旗手と評される『中田秀夫』監督の『怪談』。この映画は、ラフガデオ・ハーンの「怪談」では無く、名人円朝の落語の“怪談噺”『真景・累ヶ淵』をモチーフにしている。そして、『リング』『仄暗い水の底から』など、海外で高評価を受ける中田秀夫監督の和物がどれ位の怖さなのかが、鑑賞のポイントでもあります。
物語の発端は、江戸時代の下総は羽生の村から始まる。武士の深見新左衛門(榎本孝明)の家に借金の取立てに訪れた皆川宗悦(六兵直政)が、逆に新左衛門に切り捨てられて、累ヶ淵に沈めてしまう。やがて新左衛門は錯乱して妻を切り殺し自らも自害。お家は取り潰しとなる。残された男の子は使用人に引き取られ、宗悦の娘達も途方にくれることになる。 人気blogランキングへ
それから25年の月日が流れ、江戸の深川で煙草売りの深見新吉(尾上菊之助)は、宗悦の娘で三味線の師匠をする豊志賀と偶然出会うことになる。そして、それが全ての悲劇の幕開きとなるのだった・・・。
やがて豊志賀と暮らし始めた新吉は、師匠の豊志賀が芸を忘れ新吉との愛にのめり込んでゆく事を危惧するが、一人、また一人と生徒達は豊志賀の元を去って行く。そしてついに新吉が別れ話を切り出すが、逆上した豊志賀と口論になり、振り上げた三味線のバチで、豊志賀は顔を傷つけてしまう。その傷口がやがて怖ろしい腫れ物に変わって行くのだった。正に、バチが当たったと言うべきか・・・。
本作が映画初主演となる歌舞伎界のプリンス『尾上菊之助』の妖艶な色気。彼の運命を翻弄する豊志賀役の『黒木瞳』の怖いほどの儚い美しさと、凄味のある演技で魅せてくれる。また、美術監督『種田陽平』の作り出す江戸の世界観は素晴らしく、雨が雪に変わる移ろいや、降りしきる雨と長屋の風情に物売りの声が相まって、見応えのあるシーンを作り出している。特に圧巻は、豊志賀が死ぬ夜の江戸の夜空を彩る花火の息を呑む美しさだ。太鼓橋から長屋の屋根をパーンアップしたカメラが捉える隅田川の花火の画は、実に見応えがある。 ブログランキング
『リング』とは打って変った日本独特の怪談物の怖さを、監督の『中田秀夫』は見事に演出している。むしろ、恐怖とは冷静に距離を置き、ふとした一瞬に怖さを感じさせる。例えば、許されぬ定めの恋に落ちる豊志賀の三味線の弦が突然切れ、宗悦の位牌が倒れ落ちる所作に、和物の怖さ(恐怖ではなく)を感じさせるのだ。勿論、既に死んだ豊志賀が新吉の元を訪れ、死んだと聞かされ振り返ると、籠にのった筈の豊志賀が消え、覗き込んだ新吉の手を突然掴む手が!! 劇場騒然となったシーンだが、この手の脅かしのギミックより、泣かない赤子や錆びた鎌の方がよっぽど怖いのだ。
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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
黄色いブラックコメディの秀作。
やっと夏らしい夏になってまいりました。レイトショーに持って来いの季節。で、梅田シネリーブルのレイトショーで観たのがこの映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』であります。
カンヌ映画祭「批評家週間」招待と聞いて「ほほー!」。なにせ、世界でもたったの7本しか選ばれないという激戦区の選考過程を経て、正式に招待されたわけですね。「大日本人」の「監督週間」とは、ちと違っております。また、うるさ方が多いキネ旬の批評もこぞって高評価。TYOの遅れてきた新人『吉田大八』監督に期待しての鑑賞です。
物語は、絶対女優に成ってやる!と故郷を飛び出した和合澄伽(佐藤江梨子)が、不慮の死を遂げた両親の葬式で、北陸の田舎に帰省することから始まる。和合家はちょっと複雑な家族構成であり、澄伽の実の妹・清美(佐津川愛美)と、後妻の連れ子である宍道(永瀬正敏)と妻の待子(永作博美)が、一つ屋根の下で暮らすことになる。かつて女優に成ることを父に反対され、父にナイフを突きつけた事件を妹の清美の漫画のネタにされた事を恨む澄伽は、徹底的にイジメモード全開で清美をいたぶるのだった。しかし、兄の宍道は、過去のある事が原因で澄伽を諌める事ができない。そして、チョー自己中キャラの澄伽は、さらに暴走して行くのだった・・・。 人気blogランキングへ
強いてジャンル分けすると、ブラック・コメディである本作は、吉田監督の絶妙の演出制球力と出演者達の怪演で、非常に高い完成度を見せる。監督曰く、ヒットではなくホームランを狙ってキャスティングしたという澄伽役の佐藤江梨子も、かなりのハマリ役と見た。なにせ、圧倒的プロポーションを見事なカメラワークで魅せてくれるので、澄伽の女王様振りが際立つのだ。携帯も入らない田舎町で、浮きまくる澄伽。そして、イジメに耐えながらも逆に冷静に姉を観察しつつホラー漫画のネタにする清美。その間で煮え切らない兄の宍道の不甲斐なさと、その妻待子へのDVの数々。しかし実は、じっと耐える妹と、さらに嫁の待子の方が、ずっと強くて怖いのだ。
上映中、何度も若い女性人の笑い声が場内に起こったが、男性達はちょっと引き気味。それが、ある意味この映画を象徴している。元々、「劇団・本谷有希子」を率いる新進気鋭の女流作家として注目される『本谷有希子』の同名の人気戯曲が原作である。そして、かなり本谷有希子自身が投影された脚本であり、女性が共感できるのも頷ける。
また、この強烈なインパクトの『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の、腑抜けどもは、世の男達全員を指しているのだろう。とほほ・・・。
シネリーブルでも8月半ばまでの上映、しかも8時55分からのレイトショーのみとなっているが、中々見応えのある秀作であることは間違いない。妹の清美が描くホラー漫画と実写が交錯するカット編集や、中島哲也監督の「嫌われ松子」「下妻」のカメラ阿藤正一の映像など、CM界をリードする才能が作り上げる新しい邦画の可能性を是非映画館でお楽しみいただきたい。
ちなみに、シネリーブルの会費は年間1000円ですが、1000円分のポイントが付き、提示で毎回300円引き、金曜日は1000円で鑑賞と、中々のお得感であります。もちろん、達也も入会しております。
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「キサラギ」を、パークス・シネマで。
1BOXムービーだ!!
まさにIT時代の申し子の様な映画が誕生した。その名も『キサラギ』。遅ればせながら、「なんばパークスシネマ」で観てきました。
公式サイト等でチェックしていたので、その脚本の面白さは事前にある程度認識しているつもりだったが、来て観てビックリ!!これは只者ではないのだ。練りに練られた脚本はALWAYS3丁目の夕日の『古沢良太』によるもの。監督はWATER BOYSの『佐藤祐一』。新しいエネルギーが、着実に邦画を進化させていると思える。
その素晴らしい脚本を演じるのは、蜷川幸雄のひぞっこ家元役の『小栗旬』、テレビに映画にマルチな活躍をするオダ・ユージ役に『ユースケ・サンタマリア』。そしてパッチギやのだめカンタービレで躍進目覚しい『小出恵介』がスネーク役で、バンド「ドランクドラゴン」の塚地武雄が安雄。さらに、今や邦画を背負う実力派の香川照之がイチゴ娘役と、芸達者な一癖も二癖もるある5人のメンバーが揃っている。
物語は、B級アイドルの如月ミキの一周忌に5人のオタク達が集まった事からクラッシュする、1シチュエーションのムービーだ。
お宝グッズを自慢しあうオタク達。しかし、オダユウジ(ユースヶ・サンタマリア)が、『ミキちゃんは自殺などしていない。他殺なんだ』と言い出だし、メンバーはパニックになる。そして、次々に明らかにされる5人の素顔。ハンドル・ネームで呼び合う、見ず知らずの男たちには、それぞれ意外なミキちゃんとの接点があったのだ!一人、家元(小栗旬)を除いて。人気blogランキングへ
ほんの小さなシーンが複線となり、ちょっとした一言がドラマを大きく変える軸になる。グイグイと映画に引き込まれ、まるで自分が6番目のオタクメンバーとして、同じ部屋にいる感覚になる。上手い、実に上手く観客のハートを掴んで物語の中に引き込んでしまうのだ。
そして、怪しいと思われた男が無実であり、まさかと思った男がミキとごく近い関係と分かる。その二転三転するストーリーとスピード感に、気持ちよく酔わされる。しかも、エンディングではグッと感動までさせてくれるから堪らない。
『キサラギ』は、今までにないすべてが詰まった1BOXカーのような映画なのだ。スポーツカーのカッコ良さはなくても、ワゴン車の広がりやサルーンの高級感は無くても、十分楽しませてくれる。いや、1BOXならではの魅力で感動させてくれるのだ。
皆様、大阪地区でもまだまだロングランを続けております。
是非ぜひ、劇場でお見逃し無く!!
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- [2007/07/29 18:53]
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『傷だらけの男たち』を梅田OS劇場で。
それは、傷跡の告白。
久しぶりに劇場で新作映画を堪能してきた。金城武とトニー・レオン主演の『傷城/CONFESSION OF PAIN』、邦題はかなりダサメの『傷だらけの男達』。しかし、劇場にたどり着くまで、今日が水曜日のレディス・ディであることをすっかり忘れていたのだ。いくら金城+トニーの競演とは言え、やけにレディが多いなぁ~なんて思っていたら、ほぼ99%レディス。しかも皆さん1000円ポッキリでのご入場であります。トホホ…。しかし、ここまで来たら引き返せない。ほぼ満席の最終回、前から4列目のシネスコ・スクリーンの壁がそそり立つ席に陣取り、じっくり鑑賞させていただきましたよ。1800円の元は取るのだ!!
あの香港ノワールの名作『インファナル・アフェア』のスタッフが再集結して作り上げた今作『傷城/CONFESSION OF PAIN』は、トニー・レオンが脚本段階で演じることになっていた元刑事のポン役を『不夜城』の金城武が演じ、インファナルで切ない瞳の演技で泣かせたトニー・レオンが、逆にクールな先輩刑事のヘイを演じている。このキャスティング・チェンジが吉と出るか凶と出るかが、この映画の最大のポイントである。本来、インファナルの相手役アンディ・ラウが演じてピタッとフィットしそうな役を、対極のトニー・レオンが演じる点が肝なのだ。インファナルのファンを自認する達也としては、当初???な感じだったが、トニーのチャレンジ・スピリットに拍手したい。今までのイメージを良くぞキッパリと捨て切ったと。切ない哀愁漂う捨て犬の様な瞳が印象的なインファナルと打って変ったクールな表情の下に、影を感じさせる大人の演技は見事だった。しかし、ルックスは眼鏡をかけた石坂浩司に似ていなくも無い。でもその分、金城武がカッコ良いのだ。
さて、物語りは2003年のクリスマスに沸く香港ナイトから始まる。イブの喧騒でごった返すバーで、刑事のポン(金城武)は慣れない酒を飲みつつ張り込みをしていた。やがて先輩で上司のヘイ(トニー・レオン)も加わり、目星を付けた犯人をバーから尾行する。流れるヘッドライトの川と、目も眩む香港島の摩天楼。空撮を交えながら香港の夜景を見事に切り取りながら容疑者を尾行していく。その途中、ポンはある交通事故を目撃するのだが、これがラスト近くの大きな伏線となっている。やがて、犯人を追い詰めたポンとヘイ達の捜査陣は、連続女性殺人犯の自宅に突入し、見事犯人を検挙するが、明け方自宅にもどったポンを待っていたのは、変わり果てた恋人の姿だった。突然自殺した恋人への思いと傷の痛みに耐えかねたポンは辞職し、3年の月日が流れた。今や酒びたりの私立探偵となったポン。一方、資産家の令嬢スクツァン(シュー・ジンレイ)と結婚したヘイは対照的な立場だったが、二人の友情と信頼の絆に変わりは無かった。しかし、スクツァンの父チャウが何者かに惨殺され、身近な者の仕業と感じたスクツァンは、私立探偵のポンに捜査を依頼するのだった・・・。 人気blogランキングへ
深い傷に心を閉ざし、現実逃避する様に酒を飲むポンを、金城武が切なく演じる。ボロボロになりながらも、恋人の自殺の謎をたどるポン。クールな表情の下に悲しみの闇を持つトニー演じるヘイ。二人の男の傷ついた魂が、寄り添いながら、最後は深い海の様なエンディングにたどり着く。ほんと、切ないのだ。インファナルとは別物と思いつつも、ほぼ同じスタッフで作り上げたこの映画は、どうしても比較してしまう。
そして、インファナルのファンであればあるほど、トニー・レオンの変貌に驚き、金城の演技に魅せられる。しかし、アンドリュー・ラウ監督を始めとする全てのスタッフが、香港と言う都市と、香港映画を愛して止まないことがひしひしと伝わってくる。
また、この映画は、謎解きのサスペンスとして観てはいけないと思う。心に深い悲しみの傷を負った男達の姿、やり場のない心の葛藤を見せるために、あえてネタバレ承知で物語のプロットは展開する。だからこそ、ヘイの行動を違った角度から観れるのだろうから。
既に、インファナル同様ハリウッド&ディカプリオでリメイクが決まっていると言う。ディカプリオのオスカーを祈願しつつ、金城武の成長とトニー・レオンのチャレンジ精神。そしてスタッフの香港愛に、チィース!スコッチで乾杯なのだ。
しかし、全編に流れる味わいのあるサウンド・トラックにいい気分で酔っていると、なぜかラストのエンドロールに流れる浜崎の曲。おぃおぃおぃの、おぃ。酔いが醒めるでしかし!!
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『舞妓 Haaaan!!! 』どすぇ。
ぎょうさん、笑うておくれやすぅ。
レビュー未のドキュメンタリー『ブリッジ』を観て何だかとってもヘヴィな気分だったこともあり、ここはチョット腹の底から笑える映画を、ということで観てきたのが『舞妓 Haaaan!!! 』どす。ジメジメしたうっとおしぃこの季節には、カラッと笑うのが一番どす。ほな、レビュー行きますぇ~。
映画『舞妓 Haaaan!!! 』の脚本は、一見さんお断りという神秘のベールに包まれた“舞妓”の世界をテーマに描いた、クドカンこと『宮藤官九郎』。監督は、宮藤脚本のTVドラマ『ぼくの魔法使い』を見事に映像化した『水田伸生』。この二人が再びタッグを組み、最高のエンターテインメント大作を創り上げた。
東京の食品メーカー鈴屋食品に勤務する鬼塚公彦(阿部サダヲ)は、平凡なサラリーマン。ただ、熱狂的な舞妓ファンで、『ぼんの舞妓日記』と言うサイトを立ち上げ、暇さえあれば京都に通っている。しかし、お茶屋ののれんをくぐって舞妓と遊んだことは、まだ一度もなかった。そんなある日、お茶屋遊びの常連でプロ野球のスター選手・内藤貴一郎(堤真一)が公彦のサイトを荒らし始めた。怒りに燃える公彦。そんな時、吉報がもたらされた。念願の京都支社への転勤が決まったのだ!!
あっさりと同僚OLで彼女の大沢富士子(柴咲コウ)を捨てて、意気揚々と京都に赴任した公彦は、真っ直ぐにお茶屋へ直行するも<一見さんお断り>の壁に呆気なく追い返されてしまう。
意気消沈の公彦だったが、またまた吉報がもたらされた。なんと、鈴屋食品の社長・鈴木大海(伊東四朗)がお茶屋の常連だったのだ。社長に「仕事で結果を出せば、好きなだけお茶屋に連れて行ってやる」と言われた公彦は、人が変わったように死にものぐるいで仕事に取り組む。そして遂に、かやく別売りトッピングスタイルのオリジナルカップ麺《あんさんのラーメン》を完成させたのだ!!!
やがて、新商品《あんさんのラーメン》は、あれよあれよと言う間にに日本全国で一大旋風を巻き起こす。社長の言葉通りに仕事で結果を残した公彦は、やっとの思いで念願のお茶屋デビューを果たす。お座敷での宴会も盛り上がり、いざ舞妓はんとの野球拳!!! というときに、泥酔した内藤貴一郎(堤真一)が隣の座敷から乱入。内藤はサイト荒らしだけでなく、お座敷荒らしでもあったのだ。しかし、年俸8億円の内藤は常連で、地位も名誉も金もサラリーマンの公彦とは雲泥の差。そして、内藤は舞妓をはべらせて言い放った。「お金があれば、何してもかしまへんでぇ!」と。
↑ホントにファミマで売られている《あんさんのラーメン》
公彦は決意した。内藤を見返すためにプロ野球選手を目指すことを(えっ!?)。しかし、ここからが、クドカン節全開となるのだ。
またその頃、東京で公彦にフラれた富士子も決意した。舞妓になって公彦を見返すことを・・・(ええぇ~)。 人気blogランキングへ
舞妓の世界を舞台に、夢と笑いとペーソスをミックスとたクドカン・ワールド大爆発!!何が起こるか飛び出すか、全く予測不能の面白さ。野球・映画スター・政治家と、ジェットコースターの様に疾走するストーリー。普通ならあまりの馬鹿馬鹿しさに白けてしまうが、この超エンターテインメント舞妓ムービーは、映画の既成概念を超えるパワーに満ちている。
ルールや、しきたり満載の舞妓の世界を舞台にしながら、クドカンが描くハイテンション・ムービーは、劇場を大爆笑の寄席に変えてしまうのだ。達也が観た梅田TOHOナビオも、大爆笑の渦でありました。
普通ここまで脚本を広げてしまうと中々収集が付かないものだが、そこは流石クドカン。ミュージカル仕立ての歌って踊る見事なエンディングで閉めて魅せた。
ジメジメと嫌な梅雨を吹き飛ばすには、最高の1本。カラット大笑いできる『舞妓 Haaaan!!!』は、ぜひぜひのお薦めです。
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- [2007/06/24 19:21]
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『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』レビュー②。
映画と言うより、テーマパークなのだ。
ヨーホー♪ 見事に色んな意味で期待を裏切ってくれました。
1.2と続いたスターウォーズのプロットをかなぐり捨てて、独自のハチャメチャ路線を驀進!映画の定石からすれば、こんなのアリ?の連続です。それでも、観客を楽しませるプロフェッショナルなギミック盛り沢山の、まるで巨大テーマパーク。そう、ディスニー・ランドそのものですよ。
ハンス・ジマーの音楽はより重く深く。テッド・エリオット&テリー・ロッシオの脚本は完全に破綻している。二転三転、裏切りの連続。大事なキャラと思いきやあっさり流され、意味を成さないシークエンスもある。本来なら、金返せと言いたくなるが、そうはならないのがこの映画の魅力。圧倒的映像のクオリティと、呆れるほどのサービス精神で楽しませてくれます。全編これ、ファンタジーの世界なのです。だってディズニーランドに行って、ミッキーの中に人が入ってるといって、怒る人いないもんね。
これを映画と言うか、テーマパークと言うか、それは人それぞれとして、楽しめることは請け合い。それなら、思いっきり楽しまなきゃ、損なのです。 人気blogランキングへ
では、この映画を楽しむためのガイドライン。
先ずその①は、POCの1と2の復習から。
1の『呪われた海賊達』のラストで金貨を盗んで蘇ったお猿のジャックは、今回も大活躍。2のラストで鍵ならぬ骨をくわえていた犬は、今回海賊達の掟の番人ティーグ(キース・リチャーズ)の相棒として、キーとなる鍵を加えての登場となる。しかも、海がめに乗ってシンガポールに来た事になっている。あれ? これって、キャプテン・ジャック・スパロウの無人島脱出劇と同じ。
その②は、ペアとトリオに注目!
POCのキャラクターは、ペアかトリオになっている。ウィルとエリザベス。犬と猿。ピンテルとラゲッティ。ジャックとバルボッサ。ノリントンとスワン提督。それのペアに、ジャックやオウムやデイビィ・ジョーンズやベケットが加わってトライアングルとなり、様々な事件を引き起こす。今回は更に、サオ・フェンやティア、ティーグやカリプソが加わってハチャメチャに!
その③は、父と息子。愛と再生。
もともと靴ひものビルとウィルは親子。海賊の血を引いているのだ。ジャックとティーグも、やっぱり親子。二代に渡る親子パイレーツなのだ。ウィルは父のビルを救うためには、エリザベスと決別しなければならない選択を迫られる。そして、永遠に生きる道を選ぶのか・・・? ジャックはまた一人海へと旅立つが、彼のコンパスが指す先は『不死の泉』。まだまだ続くのか・・・?
その④は、裏切りと死。
今回は、今まで以上に複雑怪奇な相関関係となり、裏切ったり裏切られたりの、ドンデン返しの連続技。もともといい加減で調子のいいジャックも、周囲の変わり身に翻弄されっぱなしか? しかし最後には、マイペースで次の海へと向かう。しかし、ある意味1本筋の通ったノリントンの最後は、涙を誘うのだ。今回は幾つもの裏切りと、幾つかの死が待っていた・・・。
その⑤は、その後。
長ーい、長~いエンドロールの果て、物語の愛と再生を感じさせるテーマの結末が待っている。5分近いエンドロールの果てに、ディスニーやドルビーのロゴが出るまで、じっと我慢なのだ。
しかし、ホントにテーマパーク状態です。最後の最後まで、皆で仲良く楽しみましょう。
ヨーホー♪
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- [2007/05/26 21:13]
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『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』
パイレーツは、永遠に不滅です。
☆ネタバレなしです、ご安心を。
24日、ブルク7の前夜祭にて、『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』を観てきました。なんと3時間の長・大作。これから観る方は、1.2の復習と、事前のトイレをお忘れなく。ネタバレせずにレビューを書くのは至難の業。あれもこれも、あー書きたい!!
で、今回は2回に分けて、先ずこの映画を十全に楽しむためのパーレイ(=取り決め)について紹介し、この週末『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』を楽しむための参考にしていただく。そして、その後映画のレビューをお届けしたいと思うので在ります。
テーマは、父と息子。愛と再生。
映画というより、むしろ巨大なテーマパークの様相を呈してきた感のある『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』。このテーマパークを1回で遊びつくすのはチョッと難しいかも。で、そのガイドとして幾つかのComplexを紹介したい。
◎Complex1: テーマはズバリ、『父と息子』『愛と再生』。
◎Complex2: ヨーホー♪ ヨーホー♪ 今回も海賊の唄で始まり、唄で終わります。
◎Complex3: 突っ込み所満載ですが、基本ファンタジーです。そこんとこヨロシク!
◎Complex4: とにかくVFXが凄い。予算湯水・金山ですか、ディズニーさん。
◎Complex5: 逝く人、来る人。えっ、あの人が・・・。
◎Complex6: やっぱりキースは、○○だった! DNAですなぁ~。
◎Complex7: ジャックが一杯。一体何人いるのやら・・・。
◎Complex8: 3時間の長・大作。事前のトイレは忘れずに。
◎Complex10:犬と猿。そしてオウムが大活躍。なんだか桃太郎だよ。
◎Complex11:こんなウェディングもあったんだ。神父はあの人。
◎Complex12:長~いエンドロールの後に、今回も注目!! 必見です。
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- [2007/05/25 00:52]
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『俺は、君のためにこそ死ににいく』、長っ!
『死ににいく』一枚ください。
大阪梅田のブルク7では、次回上映予定の映画の予告を、待合ロビーのモニターで常時流している。この映画を知ったのは、そのモニターを観てなのだが、『へぇーかなりレベルの高い特撮だなー』などと、戦艦ミズリーに突入する特攻機のカットを見ながら思ったくらいで、観る予定は無かったのだが、『パッチギ2』で揶揄されていることも気になり観てきました。
映画は、若き特攻隊員から“特攻の母”と慕われた鳥濱トメさんの自伝『ホタル帰る』を元に、都知事の石原慎太郎氏がオリジナル脚本を書き総指揮を務めたもの。監督は『オキナワの少年』の新城 卓。撮影は、上田正治、特撮VFXは佛田 洋特撮監督が担当している。
物語は、太平洋戦争の末期、陸軍航空隊のあった鹿児島知覧基地が舞台となる。特攻隊として死にに行く少年兵たちに母と慕われた鳥濱トメ(岸恵子)は、軍指定の定食屋を経営していた。毎日の様に笑顔で散ってゆく若者達。そんな中に、何度も特攻から引き返してくる田端少尉(筒井道隆)の姿があった。そして知覧で飛行教育を受けた坂東少尉(窪塚洋介)や朝鮮人の金山少尉(前川康之)中西少尉(徳重聡)も、死にに行くために知覧へと集まってくるのだった・・・。
日本は負ける。犬死を否定する田畑。仲間の後を追って靖国に行くことを願う坂東。祖国の名誉と民族の為に死ぬ金山。お国と愛する人の為にゆくことに躊躇いの無い中西。そして、死ぬことの意味さえ実感できない少年兵の河合(中村友也)。そんな若者達をロングと長回しを多用したカメラワークで捉えてゆく。多様な人物設定と抑制の効いた演出は、観客が感情的に特定の人物に感情移入、同一化を避けるためには効果的だが、その分感動が分断されることになる。それはそれで、ステレオタイプのお涙頂戴の特攻映画になる事を回避している点を考慮すれば、悪いことではない。また、石原氏の冒頭のメッセージを見た時にチョッと感じた嫌な右よりの戦争賛美的トーンも無く、冷静かつ真摯に描けていると感じた。 人気blogランキングへ
しかし、しかしだ。この映画を中傷・揶揄する『パッチギ2』もそうなのだが、リアルな特撮映像と、表層的にリベラルな視点だけでは、戦争の持つ計り知れない多層・複雑な惨禍の本質を抉り出し、現代人の中で完全に眠ってしまった何かを揺り起こし、その先にある僅かな希望へと志向させるチカラを持ち得ないのだと思う。クリント・イーストウッドが描いて見せた『硫黄島2部作』の後では、そんな安易で感傷的なアプローチは機能しないことが明らかなのだから。日本は戦前も戦後も、弩級戦艦大和や隼や十二試艦戦で戦う以前に、文化的に無条件降伏しているのだ。あれだけ多くの犠牲を払いながら、戦う以前に勝敗は決していたし、残念なことに戦後もそれは変わらない。右だ左だと言う前に、マズその事を真摯に考えるべきだと思うのだが・・・。
ただ、この映画は、映画としてさほど悪いとは思えない。
達也が気になったのはそのイケテない長いタイトルだ。思わずブルク7の窓口で、『死ににいく1枚ください』と、言ってしまった。すると窓口の女の子も『死ににいくですね』と言っていた(笑)。石原氏は、過去に『太陽の季節』や『狂った果実』という見事なタイトルをメイクしているだけに残念。原作の『ホタル帰る』でも良かったろうに。まして、『俺は君の為に・・・・』は、メッセージの本質を曖昧にしていると思うのでありました。
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- [2007/05/24 09:19]
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