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『硫黄島からの手紙』を、試写会で観て参りました。 

      2つの手紙、2つの国旗は、
    個人と国家を象徴していた。

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※ネタバレの嵐にご注意ください。

昨日11月28日。本町の御堂会館にて、クリント・イーストウッド監督の

『硫黄島からの手紙』の試写会を観て来ました。

先月『父親からの星条旗』を二度見て、クリントの偉大な計画に気付き、

心からこの試写会を待ちわびていたのですが、実は前日の27日にも厚生年金会館にて、

同じ『硫黄島からの手紙』を観ており、2度目の鑑賞となりました。一度目は、

終了後にあまりの凄さに圧倒され、気持ちを整理するのが精一杯で、

とても情報をまとめて皆さんにお見せできるレビューにすることが出来ませんでした。

やはりこの2つの映画は壮大なスケールで、2つの国の人達に、同じメッセージを

圧倒的な迫力で伝えていたのです。

開演の合図が響き、映し出されたモノトーンのワーナーブラザーズのロゴが、

やがてタイトルと共に、スクリーン一杯に広がる満天の星空に変わる。

しかし、それは夜空に輝く星では無かった。カメラがトラックバックして上方に

パーンすると、それは真っ黒な硫黄島の砂浜に散りばめられた貝殻(金属?)だった…。

20061130010851.jpg

現代の硫黄島慰霊団の発掘作業のシーンが、61年前の陣地構築のシーンに

深くオーバーラップして物語りは始まるのだが、ここでモチーフとなる

シャベルは、ラストの出来事とシンクロしている。やがて日本に残した妻への手紙の

モノローグが流れ、語り手の西郷(二宮和也)の顔がアップになる。

この一連のカットの流れがこの映画の構成を見事に象徴している事が、

最後まで見届けると分かることになる。    ブログランキング

次のカットで栗林中将(渡辺謙)が輸送機(一式貨物輸送機に似ているが・・・)で

硫黄島に着任するシーンに変わるが、やはり内地の妻へ宛てた手紙を読む

モノローグのシーンとなっている。

20061130010018.jpg

赴任そうそう硫黄島を視察し、次々に方針を変更する栗林中将は、

部下や海軍の指揮官と衝突しながらも、強い信念で戦闘準備を整えて行く。

しかし、この栗林中将を演じる渡辺謙は、実に見事である。

今やハリウッドを拠点に活躍する彼だが、今回のこのを役を深く味わうかのように、

柔らかくシッカリと演じているのだ。

達也には、過って「独眼流政宗」で一世を風靡しながら、『天と地の』の主役・

上杉謙信役を病気のために降板せざるを得なかった事とオーバーラップして見え、

実に感慨深いものがあった。

やがて、摂氏50度を超える灼熱の洞窟掘削作業が進み、全長18kmに及ぶ

地下トンネルを持つ要塞陣地が完成する。

日々の作業と上官の制裁に耐える西郷達兵卒は、仲間と時に冗談を言いつつもせっせと

国の妻に届かぬ手紙を書く。

20061130011134.jpg

やがて2月19日のDディを迎え、海上を水平線の果てまで米軍部隊が

埋め尽くす。いよいよ上陸作戦が開始されたのだ。

戦艦ネバダの40cm砲が火を噴き、摺鉢山の形を変えてしまうほどの鋼鉄の嵐が、

日本兵達を襲う。飛び交うコルセア戦闘機から放たれるナパーム弾が地上を焼き尽くし、

ロケット弾が洞窟陣地を狙い打つ。   人気blogランキングへ

しかし、日本兵達は栗林の指揮の下、洞窟内でじっとその時を待っていた・・・。

『行きましょう!』。栗林の号令一下、満を持した日本軍の砲火がいっせいに火を噴いた。

海兵が飛び散り、上陸用舟艇が沈み、アムトラックが大破する。

5日で終わるハズの戦闘、いや地獄の36日、更には終戦後までも続く

硫黄島の戦いが火蓋を切ったのである。

20061130005842.jpg

追い詰められる日本軍。圧倒的米軍の火力の前に吹き飛ぶ戦友達。

そして、追い詰められた摺鉢山では、上官の命に従って、次々と手投弾に点火して自決。

肉片と化す日本兵。阿鼻叫喚の地獄絵が展開される。

西郷達生き残りの兵は、地下トンネルを通って北部の残存部隊と合流しようと試みるが、

海軍の伊藤大尉(中村獅童)に発見され、敵前逃亡と見なされて軍刀で切り殺され

そうになる。殉死、投降、犬死。火炎放射器で焼き殺される戦友。

捕虜にした米兵(1部で捕虜になった少年兵のイギー)にリンチを加えて弄り殺す仲間。

それと同時に、捕虜の米兵の手当てを命じるバロン西・戦車隊長(伊原剛志)。

20061130005754.jpg

鋼鉄が吹き荒れる地獄の戦場にも、やがてフィナーレが訪れる。

大本営から見殺し同様の電文を受け取った栗林は、自ら兵の先頭に立ち、

米軍の兵舎へ夜間切込みを敢行する。

その際、『諸君らの死はやがて故国の国民に達し、必ずや報われる時が来る』と告げる。

そして、鬼の様な形相で、万感の思いを込めて『天皇陛下ぁ、ヴぁんざーい!』と

叫ぶのだった・・・。

今まで一つの戦争映画では描かれることの無かった、敵国の背景を、ここまで詳細に

語った映画は観たことが無い。いや、今後も観るとが出来るかは疑問である。

しかし、監督のクリントは、完全に確信犯で全てを描き切った。この双子の国の

2つの映画を、多くの散って行った名も無き兵士へのトリビュートとして・・・。

20061130002324.jpg

Complex:1 =国旗は国を。手紙は兵士達個人を象徴し、それぞれの国旗、それぞれの兵士の手紙が、重要なモチーフとなっている。

Complex:2 =憲兵清水の犬の話と、捕虜の米兵サムへの母の手紙に出てくる飼い犬の話は、それぞれの国の政治的背景を対極に表すが、個人はまったく同じである事を強く示唆している。

Complex:3 =トップとラストのシーンに描かれる漆黒の砂浜にまるで星の様に散りばめられた貝は、この島で散って行った若者達を星屑として象徴するかのようだ。


負傷した栗林が自決する際に、西郷にこう尋ねる。『ここはまだ日本か・・・?』

西郷は答える。『はい、日本であります!』。スクリーン一杯に映し出された西郷の頬に、

大粒の涙が黒く零れ落ちる。

今レビューを終え、全ての英霊に合掌したい。

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