『ディパーテッド』は「インファナル・アフェア」を超えたのか。
そして、誰もいなくなった・・・。
『硫黄島からの手紙』とアカデミー賞一騎打ちの感がある『ディパーテッド』を
試写会で観てきました。会場の御堂会館は、開演30分以上前から長蛇の列。
『硫黄島からの手紙』に負けておりません。
それもそのはず、主役は潜入捜査官を『ディカプリオ』、マフィア側のラットに
『マット・デイモン』ですから。しかも、今回3度目のアカデミーに執念を燃やす監督の
『マーティン・スコセッシ』は、これでもかとばかりにマフィアのボスに
『ジャック・ニコルソン』を起用。これがまた大正解。オリジンの『インファナル・アフェア』で
ボスを演じたエリック・ツァンのファニーな恐怖も良かったが、狂気を演じさせて
天才(地だったらもっと怖い)のジャック・ニコルソンは、バットマンのジョーカーも
ビックリの怪演であります。おや、あんなにこの脚本にお熱だった『ブラッド・ピット』は?
何と今回はプロデューサーとして制作に回っております。そして、これが吉と出るか、
凶に転ぶかのポイントでもある気がしました。 ブログランキング
と言うのも、オリジンの『インファナル・アフェア』をあそこまでの映画に押し上げたのは、
勿論秀逸な完成度の高い脚本と、監督『アンドリュー・ラウ』の演出力、撮影監修の
『クリストファードイル』の映像に寄るところが大きいが、なんと言っても
『トニー・レオン』の切なさを伝える瞳の演技と、苦悩する『アンディ・ラウ』の
哀しい表情にあるのだから・・・。
そして、今回トニー・レオンの役を演じた『ディカプリオ』は・・・・
決して負けておりません。トニーとは一味違った、潜入捜査官の悲しみを全身で表現して、
観客をグイグイ引き込んでくれます。『アビエイター』の眉間の皺は更に深く刻まれ、
バイオレンス・シーンを見事にこなし、次第に壊れながらも最後まで自分の忌まわしい
過去の境遇と決別するために戦います。デカちゃん、男を上げましたねぇ。
歩く恐怖の『ジャック・ニコルソン』と、ガッブリとガチンコ勝負をしています。
で、もう一人の主役、アンディ・ラウが演じたマフィア側の潜入者『マッド・デイモン』君。
これが『ブラピ』だったら、アカデミー作品賞は賞決定! な、ことに成ったやも・・・。
ディモン君、ちょっと若すぎ。『レインメイカー』の頃からその演技力と、
好青年の苦悩を演じる貴重な存在感は買うが、如何せんチカラ不足 !
芸達者の中で、ちょっと浮き気味の感アリ。ディカプリオも年齢的にはまだ若いが、
2度のオスカーをロストした悔しさと、天才子役と言われながらも『ギルバート・グレイプ』
以降のパッとしない低迷期と、大作『タイタニック』後の作品に恵まれない挫折を超え、
『マーティン・スコセッシ』との出会いで俄然輝きだしたのだから。
あっ、『ギルバート・グレイプ』で思い出したが、アンディ・ラウの役を
『ジョニー・デップ』に演じさせれば、凄いことになったかも・・・。
ま、ともかく達也的にはちょっと安心。だってクリントの『硫黄島からの手紙』が、
また一歩オスカーに近づくのだから。 人気blogランキングへ
Complex1: バイオレンス・シーンは、『ディパーテッド』が一枚上。香港マフィアを同じ港町のボストンのアイリッシュ・マフィアに設定しているのも、スコセッシらしくて良い。
Complex2: オリジンで『犬』と呼ばれていた潜入者は、今回『ラット=鼠』と呼ばれているが、ラストの本物登場に、会場は失笑。トホホ。
Complex3: ハリウッド版は、死んで死んで死んで、死の淵に暗し。オリジンに無い伏兵の巡査部長がラストを締めくくるが、これもドライなハリウッド流か・・・。
Complex4: オリジンのテーマ無間道の無常さは良く表現されているが、善と悪の渾然とした哀しみに満ちた世界観が足りない気がするが、文化の差か・・・。あくまでもリメイクだし。
Complex5: 二人の主人公がひとりの女性を愛する設定の変更は良かった。 ディカプリオが潜入捜査官になった動機の過去をシッカリと描いたことも評価できる。ただ、2時間半での完成度だ。
@_@ 作品賞はクリントがとるとして、最優秀主演賞は、デカちゃんが有利。
ねぇ、君はまだ若いのだから、謙さんに譲ってくれよ !
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- [2006/12/29 03:53]
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