『舞妓 Haaaan!!! 』どすぇ。
ぎょうさん、笑うておくれやすぅ。
レビュー未のドキュメンタリー『ブリッジ』を観て何だかとってもヘヴィな気分だったこともあり、ここはチョット腹の底から笑える映画を、ということで観てきたのが『舞妓 Haaaan!!! 』どす。ジメジメしたうっとおしぃこの季節には、カラッと笑うのが一番どす。ほな、レビュー行きますぇ〜。
映画『舞妓 Haaaan!!! 』の脚本は、一見さんお断りという神秘のベールに包まれた“舞妓”の世界をテーマに描いた、クドカンこと『宮藤官九郎』。監督は、宮藤脚本のTVドラマ『ぼくの魔法使い』を見事に映像化した『水田伸生』。この二人が再びタッグを組み、最高のエンターテインメント大作を創り上げた。
東京の食品メーカー鈴屋食品に勤務する鬼塚公彦(阿部サダヲ)は、平凡なサラリーマン。ただ、熱狂的な舞妓ファンで、『ぼんの舞妓日記』と言うサイトを立ち上げ、暇さえあれば京都に通っている。しかし、お茶屋ののれんをくぐって舞妓と遊んだことは、まだ一度もなかった。そんなある日、お茶屋遊びの常連でプロ野球のスター選手・内藤貴一郎(堤真一)が公彦のサイトを荒らし始めた。怒りに燃える公彦。そんな時、吉報がもたらされた。念願の京都支社への転勤が決まったのだ!!

あっさりと同僚OLで彼女の大沢富士子(柴咲コウ)を捨てて、意気揚々と京都に赴任した公彦は、真っ直ぐにお茶屋へ直行するも<一見さんお断り>の壁に呆気なく追い返されてしまう。
意気消沈の公彦だったが、またまた吉報がもたらされた。なんと、鈴屋食品の社長・鈴木大海(伊東四朗)がお茶屋の常連だったのだ。社長に「仕事で結果を出せば、好きなだけお茶屋に連れて行ってやる」と言われた公彦は、人が変わったように死にものぐるいで仕事に取り組む。そして遂に、かやく別売りトッピングスタイルのオリジナルカップ麺《あんさんのラーメン》を完成させたのだ!!!
やがて、新商品《あんさんのラーメン》は、あれよあれよと言う間にに日本全国で一大旋風を巻き起こす。社長の言葉通りに仕事で結果を残した公彦は、やっとの思いで念願のお茶屋デビューを果たす。お座敷での宴会も盛り上がり、いざ舞妓はんとの野球拳!!! というときに、泥酔した内藤貴一郎(堤真一)が隣の座敷から乱入。内藤はサイト荒らしだけでなく、お座敷荒らしでもあったのだ。しかし、年俸8億円の内藤は常連で、地位も名誉も金もサラリーマンの公彦とは雲泥の差。そして、内藤は舞妓をはべらせて言い放った。「お金があれば、何してもかしまへんでぇ!」と。

↑ホントにファミマで売られている《あんさんのラーメン》
公彦は決意した。内藤を見返すためにプロ野球選手を目指すことを(えっ!?)。しかし、ここからが、クドカン節全開となるのだ。
またその頃、東京で公彦にフラれた富士子も決意した。舞妓になって公彦を見返すことを・・・(ええぇ〜)。 人気blogランキングへ
舞妓の世界を舞台に、夢と笑いとペーソスをミックスとたクドカン・ワールド大爆発!!何が起こるか飛び出すか、全く予測不能の面白さ。野球・映画スター・政治家と、ジェットコースターの様に疾走するストーリー。普通ならあまりの馬鹿馬鹿しさに白けてしまうが、この超エンターテインメント舞妓ムービーは、映画の既成概念を超えるパワーに満ちている。
ルールや、しきたり満載の舞妓の世界を舞台にしながら、クドカンが描くハイテンション・ムービーは、劇場を大爆笑の寄席に変えてしまうのだ。達也が観た梅田TOHOナビオも、大爆笑の渦でありました。
普通ここまで脚本を広げてしまうと中々収集が付かないものだが、そこは流石クドカン。ミュージカル仕立ての歌って踊る見事なエンディングで閉めて魅せた。
ジメジメと嫌な梅雨を吹き飛ばすには、最高の1本。カラット大笑いできる『舞妓 Haaaan!!!』は、ぜひぜひのお薦めです。
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- [2007/06/24 19:21]
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『ダイ・ハード4.0』は、凄い!!
フリーズするほど面白い!!
12年振りに、あの運の悪い男「不死身」のジョン・マクレーンが帰ってきた。ブルース・ウィリス主演、待望の新作『ダイ・ハード4.0』を試写会で観てきました。
4度目のダイ・ハードは、4.0と言うタイトルからも分かる様に、超ハイテクのサイバーテロが、我らがマクレーン刑事の相手だ。そして、マクレーンと共にサイバーテロに立ち向かうのは、『ジャスティン・ロング』が演じる天才ハッカーのマット・ファレル。テロ集団の首謀者ガブリエルに『ティモシー・オリファント』、その部下で恋人のクールなマイを『マギーQ』が演じている。そして今回の監督は、このシリーズの熱烈なファンでもある『アンダーワールド』の『レン・ワイズマン』がメガホンを取った。
吹っ飛ぶテロリストに舞うパトカー。
ヘリから落ちても死なないダイ・ハードな敵を相手に
死闘を繰り広げる我らがマクレーン刑事。
アナログオヤジのパワー全開です!!
トンネル内での大クラッシュを潜り抜け、
F35戦闘機と一騎打ち。地球が滅んでも、この男は死にません。

映画の冒頭、20世紀フォックスのオープニングロゴがショートしてフリーズし、サイバーテロを臭わせつつ物語は始まる。マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、ストーカーの様に女子大生の娘ルーシー(メアリー・エリザベス)のデートを邪魔するおせっかい親父となって冴えない登場とあいなるが、このシーンもしっかりエンディングへの伏線となっている。
そんな時、FBIからの連絡で、同じニュージャージーのハッカーの青年のマット(ジャスティン・ロング)の身柄を拘束するように命じられる。しかし、サイバーテロ集団が差し向けた凄腕の傭兵達が、一足先にマットの命を狙っていた。完全武装の傭兵達に、拳銃一つで立ち向かうマクレーン。廊下の消火器を敵に投げつけて爆破するなど、相変わらずのアクションで窮地を脱してワシントンDCへと向かう。
だが、、テロ集団の首謀者ガブリエル(ティモシー・オリファント)は、7月4日の独立記念日に、全米のインフラをハッキングし、都市機能を麻痺させていた。そんな完璧なテロ集団のプログラムなに紛れ込んだたった一つのバク、それが超アナログ男マクレーンと、天才ハッカーのマットだった。そして、マクレーン達にとって本当にダイ・ハードなのは、これからだったのだ・・・。 人気blogランキングへ


ジョン・マクレーンの魅力は、なんと言ってもその飾らないキャラクターにある。正義と家族を愛し、どんな困難に直面しても、愚痴と泣き言を言いながらも昔気質の職人の様に仕事を成し遂げる。ベタなジョークを連発しつつ、血まみれになっても冷静沈着に僅かな可能性に全てを賭ける男なのだ。そんな彼に、老若男女を問わずに引き付ける磁力の様なものを感じる。
また、最新作の4.0には、19年前に製作された『ダイ・ハード』の原点回帰を思わせるアクションとウィットに溢れている。VFXやCGの弩派手なアクションシーンに見慣れた我々も、今回のダイ・ハード4.0には、思わずフリーズしてしまうほどのあっと驚くシーンの連続なのだ。生身の人間一人が最新のジェット戦闘機F35を撃墜したり、崩れるハイウェイをコンボイトラックが駆け上ったり、あまりのシーンに突っ込むのも忘れて楽しんでしまう。少々、テロに至る首謀者の背景が薄かったり、FBIの緩慢な捜査やお約束のエンディングにチョット物足りない気もするが、第一級のアクション・ムービーであることは間違いない。

何と言っても、アナログ刑事とサイバーオタクのコンビが繰り広げるアクション・シーンの連発は、正にシリーズ最高。敵キャラのクールなマイを演じたマギーQとのエレベーター・シャフトでのバトルシーンは、ココまでヤルか?!と言うほど、息を呑むシーンが畳み掛ける。誘拐された娘の奪還に執念を燃やすマクレーンの鬼気迫る姿にどひゃ〜。 今回もマクレーン刑事は、大大大ハードで、アン・ブレイカブル!! 『ダイ・ハード4.0』は、期待できます!家族で、カップルで、ぜひお楽しみいただきたい一本なのだ。
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- [2007/06/20 12:15]
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『ボルベール<帰郷>』を試写会で。
娘は母に、母は娘に帰郷する。
嫌いな梅雨入りに体調不良。あまり乗り気ではなかった試写会でしたが、観て良かったと思える映画。特に女性の方には、必見のお薦め映画であります。
監督は『トーク・トゥ・ハー』『オール・アバウト・マイ・マザー』の『ペドロ・アルモドバル』。主演はアルモドバル監督と『オール・アバウト・マイ・マザー』以来の顔合わせとなる『ペネロペ・クルス』。
多感なティーンのころ母(カルメン・マウラ)との関係が悪くなり、親と別居していたライムンダ(ペネロペ・クルス)は、火事でその両親を失っていた。そして今は失業中の夫と15歳の娘パウラ(ヨアンナ・コバ)のために、空港で慌ただしく働く日々を過ごしている。そんなある日、母のお墓の掃除で帰郷した田舎で、火事で死んだはずの母親を見たと言う噂を耳にする。そして、肉体関係を迫ってきた父親(実は義理の父)を、娘のパウラが殺してしまうという事件が起こってしまうが・・・。 

その後、幽霊騒ぎやライムンダと娘パウラの事。父の死と病の友人の娘への償いなど、ストーリーの中で謎となっている母との確執が、ラストの10分で雪の様に消えてゆく・・・。大事なポイントなので、敢てレビューでは触れませんが、ホント良く練られた脚本です。
この映画『ボルベール』は、カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞(何と主演助演の6女優全員)を受賞し、母として、娘として、そして女としてのままならない人生をたくましく生きる女性たちの生き様を赤裸々に描き上げている。人気blogランキングへ
アルモドバル監督らしい赤をベースとしたビビッドな色彩の中で展開する人生賛歌を堪能できるが、思わずクスッ、ニヤっとするコメディの要素や、母が観ているテレビがヴィスコンティ監督の「ベリッシマ」なのも、中々ナイスなのだ。人間の生と性、死と詩をリアルに描く世界観は、日本やハリウッドには無い、やはりラテンの血の成せる業なのか。
これだけヘヴィーなテーマで脚本を書くと、普通観るに耐えないほどのドロドロと陰鬱な映画になりがちだが、この『ボルベール』がその対極に描かれているのは、監督の力量に寄るところも大きいだろう。
また、ペネロペが劇中で歌うタンゴの名曲『ボルベール』は実に見事で、歌の上手さと切ない歌詞が相まって彼女の母同様熱い涙をこらえ切なくなる。


女達の悲しさと、切なさと力強さ。母と娘の、深い愛情と、男には到底知ることも出来な強い絆。タイトルの通り、母は娘に、娘は母に、そして女は少女に帰郷します。達也が女だったら、ぜひ母か娘と観たい映画ですね。でも、男はいったい何処へ帰ればいいのでしょう・・・。
それにしてもペネロペ、真赤に匂い立つような良い女ですねぇ(視点がオッサンやん)。しかし、ポスターの写真は、チョッとカルーセル麻紀にも似てるしぃ。でも、ハリウッド作品でしか彼女を知らないなら、きっとこの映画で見方が変わります、絶対!!
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- [2007/06/15 17:27]
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『プレステージ』は、映画自体がトリック。
映画自体が
自らを犠牲にした一つのマジックなのだ。
※ネタバレに要ご注意!!
97年も早半年が過ぎましたが、今年も益々映画が好調です。
昨年は21年振りに邦画が洋画を興行収益において上回った年でしたが、今年はハリウッドも負けてはいません。次々と新作・力作を日本のスクリーンに送り込んでくれます。これは、映画ファンにとっては、嬉しい歓迎すべき出来事であります。
さて、今年前半のズラリと並ぶ秀作洋画の中でも決して見劣りしない一本を、試写会で観て来ました。タイトルは『プレステージ』。あの『メメント』で、従来の映画レトリックを塗り替えた『クリストファー・ノーラン』監督が、「クリストファー・プリースト」の小説『奇術師』を映画化したものです。
この映画は、そもそも映画の全編がトリックで、至る所にその伏線が仕掛けられています。従って、その仕掛けに触れず、ネタバレせずにレビューすることは、仕掛け無しの空間移動よりも難易度が高く、いやほとんど不可能なので、敢てトリックに触れつつこの映画自体に仕掛けられたイリュージョンに迫りたいと思うのであります。

物語の舞台は19世紀末のロンドン。若き奇術師アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とボーデン(クリスチャン・ベール)は、奇術師ミルトンの元で修行をしていた。しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリア(パイパー・ペラーボ)が水中脱出に失敗して死亡。事故の原因はボーデンの結んだロープが外れなかったことだった。これを機にアンジャーは復讐の鬼へと変貌し、妻が亡くなったことが原因で二人は敵対するようになる。次第に二人の競争は過激になり、流血の争いを繰り返すことになる。
やがて、名声を手にしたボーデンは、サラ(レベッカ・ホール )と結婚し幸せな日々を送る。そしてついに、新しいマジック「瞬間移動」を披露するのだった・・・。

この『プレステージ』も、『メメント』程ではないが、複雑な時間の変換を軸にしている。アンジャーがステージの下で水死し、そのライバル殺しの犯人としてボーデンが収監され、獄中で手渡されたアンジャーの日記によって回想することから始まっている。しかも、その後さらに時間が前後しつつ、トリックの伏線となる謎が散りばめられているのだ。推理力も然る事ながら、よほど記憶力がないと付いて行けない。
また、『デビィッド・ボウイ』演じる科学者「ニコラ・テスラ」を全く知らないと、唯のSFインチキ映画に見えてしまう。
そして更に、一流のマジックは、タネや仕掛けのないことを観客に確認させる「プレッジ」、パフォーマンスを展開する「ターン」、そして最後に予想を超えた驚きを提供する「プレステージ(偉業)」の3パートから成り立っているが、この映画自体がこの3パートから成立している。序盤のマジックの舞台裏の種明かしと、幾つかの伏線。中盤の激しいトリック合戦。そして、最後に明かされる二人の隠された驚愕の真実。
最後に勝ったのは、アンジャーか、ボーデンなのか。

一応最後に生き残った者の勝ちにも見えるが、トリックはこのままでは終わらない。ボーデンが死ぬ間際に残した言葉は、『アブラカタブラ』。
この言葉の語源はアラム語の『私が言うとおりになる』または『この言葉のようにいなくなれ』の意味だ。人気blogランキングへ
しかし、アンジャーは何故何度も、もう一人の自分を苦しい『溺死』で殺したのか。そして、その水槽を処分せずに地下に保存し、ボーデンに見せるようにしたのか。
達也としては、アンジャーの喪った妻への愛がプレステージと感じたが、皆さんはどう見るのか・・・。
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- [2007/06/10 18:01]
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斬新!『300スリーハンドレット』。
正に劇画ムービーだ。
今日からロードショーが始まる『300スリーハンドレッド』を試写会で観た。
かなりグラフィカルで斬新な映像だとは予備知識で知っていたが、想像を上回る斬新な映像に正直驚いた。しかし、歴史大作映画が好きな人にはあまりお薦めできない。歴史大作と言えば、チャールトン・へストンの『ベンハー』に始まり、ラッセル・クロウの『グラディエーター』と、達也も好きな映画が沢山ある。
だが、この『300』は、何れの映画にも似ていない。歴史公証ははなから無視した、正に動く劇画なのだ。だからこそ、そんじょそこらのアニメでは及びもつかない迫力の画角・アングル、ハイスピードとストップモーション、コマ落としを駆使した斬新な映像革命を堪能できる。
監督は『ドーン・オブ・ザ・デッド』の「ザック・スナイダー」。 『シン・シティ』でも知られる「フランク・ミラー」のグラフィック・ノベルを基に、「カート・ジョンスタッド」と脚本を共同制作している。スパルタ王レオニダスを演じる主演は、「オペラ座の怪人」の『ジェラルド・バトラー』。その妃コルゴを『レナ・へディー』。対するペルシア王クセルクセスを『ロドリゴ・サントロ』が演じている。

物語は紀元前480年のギリシア。ヘロドトスの『歴史』にも記されているテルモビュライの戦いを描いている。クセルクセス王に率いられた100万を越すペルシア軍がギリシアの都市国家群に迫り、スパルタのレオニダス王の元へも、降伏を要請する使者が訪れる。しかし、降伏は国家の滅亡だけでなく、民族と戦士の魂を滅ぼすと判断したレオニダス王は、ペルシアの使者を谷底へと蹴り落とす。そして、テルモピュライという狭い山道で、クセルクセス王に率いられた100万を越すペルシア軍と、レオニダス王に率いられたスパルタ兵300とギリシア連合軍の戦いの火蓋が切られた。
一応、スパルタの徹底したファイティング・スピリットを主軸に、王と妃の夫婦愛、父と子の深い愛情や愛国心を織り込みながら描かれているのだが、それはこの映画の中では、ほとんどメッセージとしての意味を持たないかのように思える。それほど映像が斬新で、なおかつ残酷な戦闘シーンの連続なのだ。ただ、それは限りなく劇画チックで、リアリティを伴なった恐怖や切迫感が伝わってこない。やはり、ジャンクなコミックスを読んでいる以上の深い思いに至らないのだ。 人気blogランキングへ
劇画なら、同様のジャンルに三浦健太郎の『ベルセルク』があるが、この作品は、『300』と比べ物に成らないほどの深いメッセージ性と胸に迫るリアルな恐怖を想起させた。現在の『ベルセルク』は、蝕が終わるまでの初期ベルセルクとは比較にならぬほど冗長で緩慢な劇画になってしまったが、人間の業を深くえぐる情感のある良い劇画だった。かってアニメ化されたことはあったのだが、『300』を観た時、この映像テクニックなら実写でヤレルと感じた。ぜひ『ザック・スナイダー』監督にチャレンジして欲しいものだ。

また、この『300』は、あからさまにペルシャ軍の脆弱さを描き、自由と民主主義を掲げるギリシア+スパルタ連合軍をヒロイックに描いていることから、イラン政府から正式にクレームが付いた様だ。しかし、この映画には政治的なイデオロギーが介在しているとはあまり思えない。それよりむしろ、肉体的不完全な者を排除するデフォルメされたスパルタ主義の描き方により問題があるように思える。
そして、今も紀元前の昔も、国と家族を思う熱い魂があると同時に、他国と通じ裏切る者や、危機に乗じて私欲を肥やす者がいることは変わらない。ただ、スパルタと言う言葉は今に残り、テルモピュライの戦いが語り継がれていることは、紛れも無い事実なのだ。
革新的映像の斬新な映画として楽しむには、『300』は実に面白い。ぜひ劇場のシネスコープのワイドスクリーンで堪能して頂きたいものだ。

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- [2007/06/09 22:49]
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『アポカリプト』は破格の映画だ。
次代の鼓動を体感せよ。
キリスト最後の24時間を描いた『パッション』以来、何かとお騒がせ男のイメージが強かったメル・ギブソンが、再び輝きを取り戻した。6月16日からロードショーの『アポカリプト』がいい。
早速試写会で鑑賞したが、全編手に汗握るアクションシーンの連続。そして、『猿の惑星』以来の衝撃のラストシーンに、ヤラレタ。
物語は、マヤ文明後期の中央アメリカのジャングルが舞台。誇り高き狩猟民族の血を受け継ぐジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)は、酋長の父、そして妻や子供とともに平和な暮らしを送っていた。ところが、ある日、マヤ帝国の兵隊達による襲撃を受け、仲間とともにピラミッドに連れ去られてしまう。そこで彼らを待ち受けていたのは、干ばつを鎮めるための生贄を捧げる儀式だった。
一方、村に取り残された妻と娘は、深い竪穴から脱出できずに苦しんでいた。一人また一人と、祭壇で心臓を抉り取られ、首をはねられて行く。そして、ついにジャガー・パウが祭壇に押さえつけられることになるが・・・。
ほとんど全ての俳優が素人でありながら、
今まで観たこともないほど自然な芝居をするが、
ある意味当たり前かもしれない。
しかし、表情の一つ一つが、本当に素晴らしい。
そして、スタントやCGを廃した徹底した肉体の衝突。
切り裂かれる肉、折れる骨、噴出す血しぶき。
300のそれを遥かに上回る生々しい残酷シーンの連続。
しかし、全てのシークエンスを伏線として、
ラストに訪れる衝撃のクライマックスに唖然とする。
逃げるジャガーパウと追うマヤ人達が目にしたものとは・・・。
うーん、なるほどそう来たか。これにはビックリした。
スクリーンを見つめる全ての瞳が釘付けだった。
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恐怖心が心を支配する時、恐怖が争いを生み、争いが新たな恐怖を生む。
しかし、新しい時代(=アポカリプト)は、音も無くすぐそこまで来ている。
逃げるものと追うものがやがて逆転し、恐怖が勇気に変わるとき、
新しい時代が訪れる。
アポカリプトとは、ギリシア語で、新しい時代の意味だが、
そのタイトルに込められたメッセージを、
理性ではなく本能で体感させる凄い映画だ。
ある意味これは、21世紀の今と言う時代を映す鏡でもある。
メル・ギブソン監督の映画に賭ける「ブレイブ・ハート」と「パッション」に、拍手。
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- [2007/06/06 00:10]
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『ザ・シューター/極大射程』はAB級。
『この映画が凄い!』設立を希望。
合衆国VS孤高のスナイパーと言う、ちょっと大げさなキャッチフレーズの映画『ザ・シューター/極大射程』を試写会で観てきました。何せこの映画の原作は、2000年の「このミステリーがすごい!」海外部門1位を獲得した『スティーブン・ハンター』の小説が原作。監督は「トレーニング・ディ」で知られる名匠『アントワーン・フークワ』。骨太で男臭いアクションを撮るのが上手い監督なのだ。
この映画でタフなスナイパーを演じた『マーク・ウォールバーグ』は、ディカプリオの推薦で射止めた「バスケットボール・ダイアリーズ」の成功で、俳優としての地位を獲得。06年には再びレオナルド・ディカプリオとの共演を果たしたマーティン・スコセッシ監督作の『ディパーテッド』で、初のアカデミー助演男優賞にノミネートされたことは、記憶に新しい。印象的なスラング連発の上司を演じていたが、今回は一転して寡黙なスナイパーの役。
物語は、ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)はアフリカの戦闘で相棒の観測手ドニーを軍の裏切りでを失い、今は一線を退き、広大な自然が広がる山奥で愛犬と隠遁生活を送っている。ある日そんな彼の元を退役したアイザック・ジョンソン大佐(ダニー・グローバー)が訪問し、大統領暗殺計画が発覚したため、スワガーの力を借りたいと言う。しかし、それは巧妙に仕組まれた罠だった・・・。 人気blogランキングへ

この映画の原作者『スティーブン・ハンター』は、ワシントン・ポストの映画批評家でもある。従って、映画としての見せ場を十分に心得ていて、抜け目無く楽しませてくれる。そして、「このミステリーがすごい!」海外部門1位に恥じぬ仕掛けも用意されており、適度な緊張感を持続しつつ鑑賞できる。が、しかし。何かが足りないのだ。同じプロフェッショナルな軍人のスピンアウトを描いた『ボーン・アイデンティティ』があり、9.11以降のアメリカ社会の矛盾を見事に描く秀作が多々ある中で、この映画ならではの1つ抜き出た何かが足りない。
それは、主役のマーク・ウォールバーグの華の無さなのか、監督アンとワーン・フークワの演出によるものなのかは、ビミョーである。時代遅れの時代劇に登場する様な悪代官並みの上院議員や、戦うモチベーションの設定にリアリティよりも、胸を熱くする何かが欲しい気がする。
また、スワガーの相棒となるFBIのニックを演じるのは、P・ハギス監督の『クラッシュ』で娘を撃たれる錠前職人を演じた『マイケル・ペーニャ』なのだ。しかし、この映画ではあまりパッとしておりません。その辺が、残念!
凄腕のスナイパーと言えばトム・ベレンジャー主演『山猫は眠らない』、シ゜ュード・ロウの『スターリングラード』を思い出しますが、この『ザ・シュター』は、孤高のスナイパーでありながら、凄腕の元海兵隊工作員といった感じ。近接戦闘や爆発物処理もお手の物。アメリカでは、インテリのランボーとして人気があるようです。狙撃の際に「風量」「風向」「地球の自転」まで考慮にいれるという徹底振りは、ミリタリーファンには堪らないところでもあります。

なにやら、シリーズ化されそうな予感もある本作。B級をA感じで楽しみたい気分に余裕のある時に観ていただけると、面白いかも。
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- [2007/06/04 08:21]
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