斬新!『300スリーハンドレット』。
正に劇画ムービーだ。
今日からロードショーが始まる『300スリーハンドレッド』を試写会で観た。
かなりグラフィカルで斬新な映像だとは予備知識で知っていたが、想像を上回る斬新な映像に正直驚いた。しかし、歴史大作映画が好きな人にはあまりお薦めできない。歴史大作と言えば、チャールトン・へストンの『ベンハー』に始まり、ラッセル・クロウの『グラディエーター』と、達也も好きな映画が沢山ある。
だが、この『300』は、何れの映画にも似ていない。歴史公証ははなから無視した、正に動く劇画なのだ。だからこそ、そんじょそこらのアニメでは及びもつかない迫力の画角・アングル、ハイスピードとストップモーション、コマ落としを駆使した斬新な映像革命を堪能できる。
監督は『ドーン・オブ・ザ・デッド』の「ザック・スナイダー」。 『シン・シティ』でも知られる「フランク・ミラー」のグラフィック・ノベルを基に、「カート・ジョンスタッド」と脚本を共同制作している。スパルタ王レオニダスを演じる主演は、「オペラ座の怪人」の『ジェラルド・バトラー』。その妃コルゴを『レナ・へディー』。対するペルシア王クセルクセスを『ロドリゴ・サントロ』が演じている。
物語は紀元前480年のギリシア。ヘロドトスの『歴史』にも記されているテルモビュライの戦いを描いている。クセルクセス王に率いられた100万を越すペルシア軍がギリシアの都市国家群に迫り、スパルタのレオニダス王の元へも、降伏を要請する使者が訪れる。しかし、降伏は国家の滅亡だけでなく、民族と戦士の魂を滅ぼすと判断したレオニダス王は、ペルシアの使者を谷底へと蹴り落とす。そして、テルモピュライという狭い山道で、クセルクセス王に率いられた100万を越すペルシア軍と、レオニダス王に率いられたスパルタ兵300とギリシア連合軍の戦いの火蓋が切られた。
一応、スパルタの徹底したファイティング・スピリットを主軸に、王と妃の夫婦愛、父と子の深い愛情や愛国心を織り込みながら描かれているのだが、それはこの映画の中では、ほとんどメッセージとしての意味を持たないかのように思える。それほど映像が斬新で、なおかつ残酷な戦闘シーンの連続なのだ。ただ、それは限りなく劇画チックで、リアリティを伴なった恐怖や切迫感が伝わってこない。やはり、ジャンクなコミックスを読んでいる以上の深い思いに至らないのだ。 人気blogランキングへ
劇画なら、同様のジャンルに三浦健太郎の『ベルセルク』があるが、この作品は、『300』と比べ物に成らないほどの深いメッセージ性と胸に迫るリアルな恐怖を想起させた。現在の『ベルセルク』は、蝕が終わるまでの初期ベルセルクとは比較にならぬほど冗長で緩慢な劇画になってしまったが、人間の業を深くえぐる情感のある良い劇画だった。かってアニメ化されたことはあったのだが、『300』を観た時、この映像テクニックなら実写でヤレルと感じた。ぜひ『ザック・スナイダー』監督にチャレンジして欲しいものだ。
また、この『300』は、あからさまにペルシャ軍の脆弱さを描き、自由と民主主義を掲げるギリシア+スパルタ連合軍をヒロイックに描いていることから、イラン政府から正式にクレームが付いた様だ。しかし、この映画には政治的なイデオロギーが介在しているとはあまり思えない。それよりむしろ、肉体的不完全な者を排除するデフォルメされたスパルタ主義の描き方により問題があるように思える。
そして、今も紀元前の昔も、国と家族を思う熱い魂があると同時に、他国と通じ裏切る者や、危機に乗じて私欲を肥やす者がいることは変わらない。ただ、スパルタと言う言葉は今に残り、テルモピュライの戦いが語り継がれていることは、紛れも無い事実なのだ。
革新的映像の斬新な映画として楽しむには、『300』は実に面白い。ぜひ劇場のシネスコープのワイドスクリーンで堪能して頂きたいものだ。
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- [2007/06/09 22:49]
- 試写会で観た映画 |
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Comments
こんばんは
まさに動くグラフィックノベルでしたね。
技法的にも、内容的にもアニメと実写の境界線上の作品と言えるでしょう。
比較的低予算という事もあり、これで漫画の映画化ブームが来るのではという気がします。
ところで「ベルセルク」って、なんか「指輪物語」みたいな展開になってから読むのをやめてしまったのですが、完結したんでしょうか。
鷹の団編あたりは凄く面白かったのですが。
こんにちは。
TATSUYAさん、こんにちは。
試写会に外れたけれど、先行で観て初日にも観に行ってしまいました。
もともと、主演俳優にハマっていた時期があったので、
苦手分野だとわかっていながら観に行ったのだけど、
みなさんが仰るように、現実感がなくメッセージ性も低いことで、
動くグラフィックアートを観る感覚で楽しみました。
男性ウケがいい作品ですが、男性をかっこよく描いて見せてくれるので、
女性にも楽しめる映画かもしれません。
映画の新しいスタイル
ノラネコさん、いらっしゃいませ。
テクニック的には、実に面白い映画です。
おっしゃる様に、新しい映画スタイルの
プレリュード的作品になるかも・・・。
『ベルセルク』は大好きな劇画で、
日本のダーク・ファンタジーを代表する
金字塔だと思います。
今はグリフィスが再び人間?として降臨し、
「新生鷹の団」を率いています。
でも、蝕に至るまでのあの緊張感は感じません。
そう言えばベルセルクも、
「エイリアン」や「ヘルレイザー」など、
映画の影響をかなり受けていますよね。
悠雅さん、ようこそ!
悠雅さんいらっしゃいませ。
スパルタ王レオニダスを演じた
主演の『ジェラルド・バトラー』、
凄くカッコ良かったです。
コノ映画にメッセージ性が無いわけではないのですが、
映像が斬新過ぎて、霞んでしまった感じです。
試写会のスクリーンは余り良くないので、
再度劇場で観たい映画でもあります。
こんにちはTBあ邪魔しました。
それにしてもど迫力映像でしたね。一時は300人が勝つと信じていました。精鋭戦士たちも凄かったです。
ケントさん、ようこそ!
ケントさん、いらっしゃいませ。
どのシーンも画になる男達の
スタイリッシュな舞踏の様な
戦闘シーンが印象的でした。
あまりにグラフィカルなので、
血飛沫や生首にも恐怖感が沸きませんでした。
しかし、映像は斬新だ!!
こんにちは♪
思った以上に楽しめました。
こんなにグロい映像を楽しんでいいのかな?と心の中で自問しながら。
なによりも血の色が抑えられていたのが見易さの原因でしょうね~。
ストップモーションもカッコよさを倍増させてました。
まさに動く劇画!
TATSUYAさま、こんにちは~。
これ、本当に劇場の大きなスクリーンで観るべき映画ですね!
私も政治が介入するような深刻な映画じゃないと思います。
ペルシアより、スパルタ内部の抗争(裏切り?)のほうがタチが悪かったと思いましたよ(笑)
ではでは、またです~。
ミチさん、ようこそ。
ミチさん、いらっしゃいませ。
『300』のスタイリッシュな映像に、
親子や夫婦の愛、国への誇りなど、
メッセージが霞んでしまった
感もありますが、
劇場でもう一回みたい映画です。
真紅さん、Well come !
真紅さん、ようこそ。
『300』の映像、メチャカッコ良かった。
ついに『300アートブック』も
アマゾンで買ってしまいました。
届くのが待ちどおしいです。
確かに、亡国は内部から始まっていました。
今も昔も、変わりませんねぇ。
スパルタぁっっぁぁ!
いやぁ、帰宅途中駅のホームでスパルタぁと叫んでみたくなりました。
鑑賞前、映像処理に若干の不安がありましたが、見事に内容にマッチしてたと思います。
10メートルはあろう巨大化した象、重戦車襲来…あ、サイでした!
最高でした!
drinkerさん、ようこそ!
drinkerさん、いらっしゃい。
凄い迫力と男を感じさせる映画でしたよね。
これでもかと畳み掛ける怒涛のペルシャ軍を
片っ端から薙ぎ倒すスパルタ軍。
呆れるほどアニメチックですが、
爽快な開放感は否めないです。
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300(スリーハンドレッド) 98点(100点満点中)07-150
ミスターXにはしゃがみキック連発公式サイトヘロドトスの史書『歴史』より、テルモピュライの戦いを描いた1961年の映画『スパルタ総攻撃(原題:300 Spartans)』を着想とした、フランク・ミラーのアメリカンコミック『300』を実写映画化。監督は『ゾンビ』をスタイリ....
『300 <スリーハンドレッド>』
(原題:300)----『300』ってなにが300ニャの?「うん。これはね。侵略を目論むペルシャ帝国軍100万に対して王レオニダス(ジェラルド・バトラー)のもとに集まったスパルタの屈強な男たちが壮絶なバトルを挑んだと言うヘロドトスの『歴史』にも記されているテルモビュライ
300 [スリーハンドレッド]・・・・・評価額1600円
開場30分前に行ったのに、もう既に劇場の前は長蛇の列。古代ギリシャとペルシャ帝国が戦ったペルシャ戦争の激戦地、テルモピレーの戦いを基にしたグラフィックノベルを映画化した「300」は、オスカーシーズン明けで、
『300 <スリーハンドレッド>』
監督:ザック・スナイダー CAST:ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディー、ロドリゴ・サントロ 他STORY:紀元前480年、ギリシャのスパルタ。その国の兵士達は、幼い頃から厳しい戦闘訓練によって鍛え上げられていた。そんなスパルタの王、レオニダス(ジェラルド・バトラー
300<スリーハンドレッド>
100万のペルシャ軍を迎え撃つ、スパルタの300人の裸の男たち。
300<スリーハンドレッド>
100万のペルシャ軍を迎え撃つ、スパルタの300人の裸の男たち。
300
★★★☆ スパルタ精鋭300人が、ぺルシア軍100万人に挑むという空前絶後のスペクタクル巨編。クラッシュという画像処理技術により、まるで動く絵画のような渋い映像が、昔のスペクタクル映画のようで懐かしい。ひと昔前なら、さしずめ主役は、チャールトン・へスト
300(07・米)
スパルタ・レオニダス王の吐く「This is Sparta!」を聞いたとき、映画「ブラッド・ダイヤモンド」の「T.I.A」・・・「This is Africa」を思い出した。全く逆の意味で。「スパルタ」と言えばスパルタ教育と言う言葉があるほど厳しい軍事教育で有名な古代ギリシア都市。アテ
「300」
「スッパルタッ!!!!」と観てきました。いやいや主演のジェラルド・バトラーが「毎日撮影でMAXのテンションを求められ、肉体は極限までいじめまれ、めちゃくちゃ疲れた」といっていたので、そのハイテンションぶりを
映画 【300 〈スリーハンドレッド〉】
先行上映にて「300〈スリーハンドレッド〉」『シン・シティ』でも知られるアメコミを代表する作家フランク・ミラーのグラフィック・ノベルを基に映画化。紀元前480年、スパルタ王レオニダス(ジェラルド・バトラー)は、ペルシアの大王クセルクセス(ロドリゴ・サントロ)か
300/スリーハンドレッド
人類史上最強300人からなるスパルタ軍団。肉体や映像など感銘するシーンはあったが、物語としてはどうなの??? 評価:★6点(満点10点...
熱く美しい戦士たち~『300<スリーハンドレッド>』
紀元前480年、古代ギリシアの都市国家スパルタ。大国ペルシアから服従を迫られたレオニダス王(ジェラルド・バトラー)は「土地と水を差し出せ」という要求を拒否し、戦うことを決意する。王の親衛軍として300人の精鋭
300
300(2007/アメリカ) 【劇場公開】監督:ザック・スナイダー 出演:ジェラルド・バトラー/レナ・ヘディ/デヴィッド・ウェンハム/ドミニク・ウェスト /ミヒャエル・ファスベンダー/ヴィンセント・リーガン 世界各国で大ヒットを記録。『シン・シティ』でも知られる
300 07130
300 スリーハンドレッド 3002006年 ザック・スナイダー 監督・脚本 フランク・ミラー 原作・制作総指揮 リン・バーリー 原作ジェラルド・バトラー レナ・ヘディー デイビッド・ウェナム ドミニク・ウェスト ビンセント・リーガン マイケル・ファ..
300 07130
300 スリーハンドレッド 3002006年 ザック・スナイダー 監督・脚本 フランク・ミラー 原作・制作総指揮 リン・バーリー 原作ジェラルド・バトラー レナ・ヘディー デイビッド・ウェナム ドミニク・ウェスト ビンセント・リーガン マイケル・ファ..
300 [映画]
http://wwws.warnerbros.co.jp/300/ (300
300/スリーハンドレッド
伝説の追体験。脳裏に刻み込まれました。
【劇場映画】 300<スリーハンドレッド>
≪ストーリー≫紀元前480年。スパルタ王レオニダスのもとに、圧倒的な軍力を誇るペルシア帝国・クセルクセス王の遣いがやって来た。曰く、土地と水を差し出さなければ、国を滅ぼすという。しかしレオニダスは遣いを葬り去り、ペルシアと戦う道を選んだ。託宣師のお告げも無
【2007-82】300<スリーハンドレッド>
戦えない子供は谷底へ突き落とされ、男たちはとてつもない国を育てた。スパルタだ・・・そこに侵略軍が現れた人類史上──最強の300人VS侵略軍100万人史上最大のとてつもない真っ向勝負が幕を開ける。300人VS1,000,000人、真っ向勝負!...
300 <スリーハンドレッド> (300)
監督 ザック・スナイダー 主演 ジェラルド・バトラー 2007年 アメリカ映画 117分 アクション 採点★★★★★ もう評価も付けたことだし、余計なことをウダウダと書かずに一言「これがスパルタだ!!」とだけ書いて終わらせるのが一番良い気もするので、こっから先は無駄話っ
「300」劇画タッチの全身全力作品、力を抜く部分も欲しかったか
「300」★★★☆ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディ主演ザック・スナイダー監督、2007年実はこの映画、3月にタイのハートヤイというマレーシアとの国境の街で見た。その時は、なんとタイ語の吹き替えもちろん何を言ってるのかは分からず、ただ観...
★「300 <スリーハンドレッド>」
全米で興行収入2億ドルを突破したというヒット作。ギリシャやペルシャの戦士ものはヒットしない・・・という今までの常識を覆したそうで。主人公はスパルタ教育で有名なスパルタの王。300人対100万人の対決・・・というのがウリ・・です。
真・映画日記『300〈スリーハンドレット〉』
6月13日(水)◆470日目◆夕方、虎ノ門の「チケットフナキ」で東急レクリエーションの株主優待券を800円でゲット!終業後、上野東急へgo!『300〈スリーハンドレット〉』を見る。いやぁ~、実に斬新な映像体験である。実写とCGを織り混ぜ、時折絵画的なアートを見せる。紀元
1200人ものジェラルド・バトラーファンが集結?!
6月6日(水)ジェラルド・バトラー主演映画『300<スリーハンドレッド>』ジャ...
[映画]300
ちょっと前に見たものを、自分の記憶のため書いておきます。 大学での専攻は西洋史。 そう、ぼくは歴史好きなのです。 あらすじを簡単に 民主主義を奉戴する都市国家「ポリス」が割拠していたギリシア。 中でもスパルタは軍事国家として勇名をはせていた。 ギリシア征服を
300<スリーハンドレッド>(2007年、アメリカ)
主演:ジェラルド・バトラー監督:ザック・スナイダー備考:R-15指定 あらすじ…
映画DVD:「300(スリー・ハンドレッド)」
今日の話題は映画DVD「300(スリー・ハンドレッド)」である。お値段は3,980円とお高い(笑)。特典ディスク付版しかなかったので仕方なく買った。本編は117分と、この手のいわゆる「歴史スペクタクル巨編」?にしては、若干短いかもしれない。時代はギリシャ
mini review 07084「300 スリーハンドレッド」★★★★★★★☆☆☆
解説: 『シン・シティ』でも知られるフランク・ミラーのグラフィック・ノベルを基に、スパルタの兵士300人がペルシアの巨大軍と戦う姿を描いたアクション超大作。監督は『ドーン・オブ・ザ・デッド』のザック・スナイダー。屈強なスパルタの王レオニダスを『オペラ座の怪
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