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『ボルベール<帰郷>』を試写会で。 

娘は母に、母は娘に帰郷する。

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 嫌いな梅雨入りに体調不良。あまり乗り気ではなかった試写会でしたが、観て良かったと思える映画。特に女性の方には、必見のお薦め映画であります。
 監督は『トーク・トゥ・ハー』『オール・アバウト・マイ・マザー』の『ペドロ・アルモドバル』。主演はアルモドバル監督と『オール・アバウト・マイ・マザー』以来の顔合わせとなる『ペネロペ・クルス』。

 多感なティーンのころ母(カルメン・マウラ)との関係が悪くなり、親と別居していたライムンダ(ペネロペ・クルス)は、火事でその両親を失っていた。そして今は失業中の夫と15歳の娘パウラ(ヨアンナ・コバ)のために、空港で慌ただしく働く日々を過ごしている。そんなある日、母のお墓の掃除で帰郷した田舎で、火事で死んだはずの母親を見たと言う噂を耳にする。そして、肉体関係を迫ってきた父親(実は義理の父)を、娘のパウラが殺してしまうという事件が起こってしまうが・・・。

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 その後、幽霊騒ぎやライムンダと娘パウラの事。父の死と病の友人の娘への償いなど、ストーリーの中で謎となっている母との確執が、ラストの10分で雪の様に消えてゆく・・・。大事なポイントなので、敢てレビューでは触れませんが、ホント良く練られた脚本です。
 この映画『ボルベール』は、カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞(何と主演助演の6女優全員)を受賞し、母として、娘として、そして女としてのままならない人生をたくましく生きる女性たちの生き様を赤裸々に描き上げている。人気blogランキングへ

 アルモドバル監督らしい赤をベースとしたビビッドな色彩の中で展開する人生賛歌を堪能できるが、思わずクスッ、ニヤっとするコメディの要素や、母が観ているテレビがヴィスコンティ監督の「ベリッシマ」なのも、中々ナイスなのだ。人間の生と性、死と詩をリアルに描く世界観は、日本やハリウッドには無い、やはりラテンの血の成せる業なのか。
 これだけヘヴィーなテーマで脚本を書くと、普通観るに耐えないほどのドロドロと陰鬱な映画になりがちだが、この『ボルベール』がその対極に描かれているのは、監督の力量に寄るところも大きいだろう。
 また、ペネロペが劇中で歌うタンゴの名曲『ボルベール』は実に見事で、歌の上手さと切ない歌詞が相まって彼女の母同様熱い涙をこらえ切なくなる。
 
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女達の悲しさと、切なさと力強さ。母と娘の、深い愛情と、男には到底知ることも出来な強い絆。タイトルの通り、母は娘に、娘は母に、そして女は少女に帰郷します。達也が女だったら、ぜひ母か娘と観たい映画ですね。でも、男はいったい何処へ帰ればいいのでしょう・・・。

 それにしてもペネロペ、真赤に匂い立つような良い女ですねぇ(視点がオッサンやん)。しかし、ポスターの写真は、チョッとカルーセル麻紀にも似てるしぃ。でも、ハリウッド作品でしか彼女を知らないなら、きっとこの映画で見方が変わります、絶対!!


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Comments

TATSUYAさん☆おはよございます☆

観てきましたよん、
良かったです。
アイメイク濃かったけどペネはやっぱり可愛い♪いい演技してましたね。
おばちゃん(母)も良かったですし、
皆カンヌで賞とったのも納得です。

達也さん、こんにちは!
ペネロペ、すごく色っぽくて素敵でした~♪ビビッドな色合いとかも良かったし、なかなか楽しめました。

>でも、男はいったい何処へ帰ればいいのでしょう・・・。
 ごめんなさい、ここ部分、ちょっとくすっ(^_^;)となってしまいました。
確かに、この映画見終わった後「男は殆ど出て来なかったなぁ・・・(出て来てても、なんだかサビシー扱いだった・・)
なんか、女性だらけの映画だった印象が・・。

migさん、ようこそ!

migさん、でしょでしょ。

ペネロペは今まで繊細で薄幸な
イメージが強かったのですが、
この映画で改めました。
いや、良い女優です♪

latifa さん、ありがとね。

latifaさん、ようこそ。

男達よ何処へ行く・・・。
と言う達也も男ですよ。
この映画を観れば、
全ての女性は勇気付けられ、
男は落ち込みますなぁ。

よし、負けるものかぁ!!

はじめまして!TBどうもありがとうございました。
ペネロペ・クルス、本当に綺麗でしたね。歌うシーンがとっても感動的でした。

かもりーなさん、初めまして。

かもりーなさん、いらっしゃいませ。

ペネロペのイメージを一新する
いい映画でした。
彼女の過去作品をもう一度見直して
みたくなりました。

私もオッサン目線?

TATSUYAさま、こんにちは~。TBさせて下さい。
女の私から見ても、ペネロペは本当~に綺麗!!
むちゃくちゃ魅力的ですよ~。
熱演でしたね、いい映画でした。
私は残念ながら娘がいないんですけど、ライムンダの強さを見習って生きていきたいと思いました。
劇場は女性でいっぱいでした!ではでは~。

真紅さん、ようこそ!

真紅そん、いらっしゃい。

達也は試写会場で観たので、
結構男性人もいたのですが、
明かりがついて帰る頃には、
皆さん肩を落としてすごすごと
家路についておりました。
そう言う達也もですが・・・。

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