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『傷だらけの男たち』を梅田OS劇場で。 

それは、傷跡の告白。

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 久しぶりに劇場で新作映画を堪能してきた。金城武とトニー・レオン主演の『傷城/CONFESSION OF PAIN』、邦題はかなりダサメの『傷だらけの男達』。しかし、劇場にたどり着くまで、今日が水曜日のレディス・ディであることをすっかり忘れていたのだ。いくら金城+トニーの競演とは言え、やけにレディが多いなぁ~なんて思っていたら、ほぼ99%レディス。しかも皆さん1000円ポッキリでのご入場であります。トホホ…。しかし、ここまで来たら引き返せない。ほぼ満席の最終回、前から4列目のシネスコ・スクリーンの壁がそそり立つ席に陣取り、じっくり鑑賞させていただきましたよ。1800円の元は取るのだ!!

 あの香港ノワールの名作『インファナル・アフェア』のスタッフが再集結して作り上げた今作『傷城/CONFESSION OF PAIN』は、トニー・レオンが脚本段階で演じることになっていた元刑事のポン役を『不夜城』の金城武が演じ、インファナルで切ない瞳の演技で泣かせたトニー・レオンが、逆にクールな先輩刑事のヘイを演じている。このキャスティング・チェンジが吉と出るか凶と出るかが、この映画の最大のポイントである。本来、インファナルの相手役アンディ・ラウが演じてピタッとフィットしそうな役を、対極のトニー・レオンが演じる点が肝なのだ。インファナルのファンを自認する達也としては、当初???な感じだったが、トニーのチャレンジ・スピリットに拍手したい。今までのイメージを良くぞキッパリと捨て切ったと。切ない哀愁漂う捨て犬の様な瞳が印象的なインファナルと打って変ったクールな表情の下に、影を感じさせる大人の演技は見事だった。しかし、ルックスは眼鏡をかけた石坂浩司に似ていなくも無い。でもその分、金城武がカッコ良いのだ。

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 さて、物語りは2003年のクリスマスに沸く香港ナイトから始まる。イブの喧騒でごった返すバーで、刑事のポン(金城武)は慣れない酒を飲みつつ張り込みをしていた。やがて先輩で上司のヘイ(トニー・レオン)も加わり、目星を付けた犯人をバーから尾行する。流れるヘッドライトの川と、目も眩む香港島の摩天楼。空撮を交えながら香港の夜景を見事に切り取りながら容疑者を尾行していく。その途中、ポンはある交通事故を目撃するのだが、これがラスト近くの大きな伏線となっている。やがて、犯人を追い詰めたポンとヘイ達の捜査陣は、連続女性殺人犯の自宅に突入し、見事犯人を検挙するが、明け方自宅にもどったポンを待っていたのは、変わり果てた恋人の姿だった。突然自殺した恋人への思いと傷の痛みに耐えかねたポンは辞職し、3年の月日が流れた。今や酒びたりの私立探偵となったポン。一方、資産家の令嬢スクツァン(シュー・ジンレイ)と結婚したヘイは対照的な立場だったが、二人の友情と信頼の絆に変わりは無かった。しかし、スクツァンの父チャウが何者かに惨殺され、身近な者の仕業と感じたスクツァンは、私立探偵のポンに捜査を依頼するのだった・・・。 人気blogランキングへ

 深い傷に心を閉ざし、現実逃避する様に酒を飲むポンを、金城武が切なく演じる。ボロボロになりながらも、恋人の自殺の謎をたどるポン。クールな表情の下に悲しみの闇を持つトニー演じるヘイ。二人の男の傷ついた魂が、寄り添いながら、最後は深い海の様なエンディングにたどり着く。ほんと、切ないのだ。インファナルとは別物と思いつつも、ほぼ同じスタッフで作り上げたこの映画は、どうしても比較してしまう。
 そして、インファナルのファンであればあるほど、トニー・レオンの変貌に驚き、金城の演技に魅せられる。しかし、アンドリュー・ラウ監督を始めとする全てのスタッフが、香港と言う都市と、香港映画を愛して止まないことがひしひしと伝わってくる。


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 また、この映画は、謎解きのサスペンスとして観てはいけないと思う。心に深い悲しみの傷を負った男達の姿、やり場のない心の葛藤を見せるために、あえてネタバレ承知で物語のプロットは展開する。だからこそ、ヘイの行動を違った角度から観れるのだろうから。

 既に、インファナル同様ハリウッド&ディカプリオでリメイクが決まっていると言う。ディカプリオのオスカーを祈願しつつ、金城武の成長とトニー・レオンのチャレンジ精神。そしてスタッフの香港愛に、チィース!スコッチで乾杯なのだ。
 しかし、全編に流れる味わいのあるサウンド・トラックにいい気分で酔っていると、なぜかラストのエンドロールに流れる浜崎の曲。おぃおぃおぃの、おぃ。酔いが醒めるでしかし!!


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Comments

インファナルのファンより

TATSUYAさん、こんばんは!
ワタシもインファナルのファンなので、トニー・レオンの悪役には驚きました。
「切ない哀愁漂う捨て犬の様な瞳のトニー・レオン」
ホントにその通りで、ワタシは、その瞳に、心を持っていかれました。

始まりは、2003年でしたが、その年に、レスリー・チャンが自殺をしてて、香港の映画人にとっては、特別な年らしいです。
だから、この映画を見て、TATSUYAさんの書かれているように、「アンドリュー・ラウ監督を始めとする全てのスタッフが、香港と言う都市と、香港映画を愛して止まない」というのを、ワタシも感じました。
長くなってしまいました。
インファナル繋がりなので、ついつい熱が入ってしまいます。
TBさせていただきました。
浜崎さんの歌には驚きましたね。配給がエイベックスだったからでしょうね。

サラさん、ようこそ!

サラさん、いらっしゃいませ。

ホントにこの映画は、香港への愛と
香港映画へのレスペクトとで
溢れていました。
そして2003年はレスリー・チャンの死と、
SARSの年でもありました。
中国に吸収され、独自性を少しずつ
失いそうな香港ですが、
この映画では、両者のブリッジとして
女優陣も頑張っていましたよね。

悪役トニー

TATSUYAさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございました。
梅田OSは、PITAPAを提示すれば300円引きだと思いますよ。持ってらっしゃるかな。
レディースデイに1800円で観るってちょっと損した気分ですよね。
ガーデンシネマみたいに男女問わず1000円だったらいいのにね。

眼鏡トニーが石坂浩二さんに似てると思われた方、多いのですねー。
いつもの「眼力」を眼鏡で封印したのかな・・。
レスリーが亡くなった頃は、香港映画はどん底でしたものね。
いまやリメイクされてオスカー受賞する作品を生んでいる香港映画界、アンドリュー・ラウ、アラン・マック、トニーの功績は大きいですね。
ではでは、また来ます。

真紅さん、ようこそ!

真紅さん、
>梅田OSは、PITAPAを提示すれば300円引き
大変貴重なアドバイスアリガトです。
OSAKA PiTaPaの
タヌキキャラの制作に関わったにも
かかわらず、持ってませーン!!とほほ。
これを機に持つ事にします。
えっ、ガーデンシネマは、
男子も1000円ですかぁ?
シラナンダァ~。

初めまして。
レビュー、拝見しました。
昨日、映画を観たのですが理解に苦しんで居た私の脳みそがすっきりしました。ありがとうございます~
ブログ、今は機能していないので
トラバが出来ませんので、転載させて
頂かせてもらいます~

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