『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
黄色いブラックコメディの秀作。
やっと夏らしい夏になってまいりました。レイトショーに持って来いの季節。で、梅田シネリーブルのレイトショーで観たのがこの映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』であります。
カンヌ映画祭「批評家週間」招待と聞いて「ほほー!」。なにせ、世界でもたったの7本しか選ばれないという激戦区の選考過程を経て、正式に招待されたわけですね。「大日本人」の「監督週間」とは、ちと違っております。また、うるさ方が多いキネ旬の批評もこぞって高評価。TYOの遅れてきた新人『吉田大八』監督に期待しての鑑賞です。
物語は、絶対女優に成ってやる!と故郷を飛び出した和合澄伽(佐藤江梨子)が、不慮の死を遂げた両親の葬式で、北陸の田舎に帰省することから始まる。和合家はちょっと複雑な家族構成であり、澄伽の実の妹・清美(佐津川愛美)と、後妻の連れ子である宍道(永瀬正敏)と妻の待子(永作博美)が、一つ屋根の下で暮らすことになる。かつて女優に成ることを父に反対され、父にナイフを突きつけた事件を妹の清美の漫画のネタにされた事を恨む澄伽は、徹底的にイジメモード全開で清美をいたぶるのだった。しかし、兄の宍道は、過去のある事が原因で澄伽を諌める事ができない。そして、チョー自己中キャラの澄伽は、さらに暴走して行くのだった・・・。 人気blogランキングへ
強いてジャンル分けすると、ブラック・コメディである本作は、吉田監督の絶妙の演出制球力と出演者達の怪演で、非常に高い完成度を見せる。監督曰く、ヒットではなくホームランを狙ってキャスティングしたという澄伽役の佐藤江梨子も、かなりのハマリ役と見た。なにせ、圧倒的プロポーションを見事なカメラワークで魅せてくれるので、澄伽の女王様振りが際立つのだ。携帯も入らない田舎町で、浮きまくる澄伽。そして、イジメに耐えながらも逆に冷静に姉を観察しつつホラー漫画のネタにする清美。その間で煮え切らない兄の宍道の不甲斐なさと、その妻待子へのDVの数々。しかし実は、じっと耐える妹と、さらに嫁の待子の方が、ずっと強くて怖いのだ。
上映中、何度も若い女性人の笑い声が場内に起こったが、男性達はちょっと引き気味。それが、ある意味この映画を象徴している。元々、「劇団・本谷有希子」を率いる新進気鋭の女流作家として注目される『本谷有希子』の同名の人気戯曲が原作である。そして、かなり本谷有希子自身が投影された脚本であり、女性が共感できるのも頷ける。
また、この強烈なインパクトの『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の、腑抜けどもは、世の男達全員を指しているのだろう。とほほ・・・。
シネリーブルでも8月半ばまでの上映、しかも8時55分からのレイトショーのみとなっているが、中々見応えのある秀作であることは間違いない。妹の清美が描くホラー漫画と実写が交錯するカット編集や、中島哲也監督の「嫌われ松子」「下妻」のカメラ阿藤正一の映像など、CM界をリードする才能が作り上げる新しい邦画の可能性を是非映画館でお楽しみいただきたい。
ちなみに、シネリーブルの会費は年間1000円ですが、1000円分のポイントが付き、提示で毎回300円引き、金曜日は1000円で鑑賞と、中々のお得感であります。もちろん、達也も入会しております。
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- [2007/08/02 07:53]
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 77点(100点満点中)
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ DVD
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のDVDを観ました~♪ 面白い映画ですねぇ~♪ 澄伽(スミカ)を演じるのは、佐藤江梨子です。澄伽って凄い傲慢な女の子ですね、女優になるために家を飛び出したはエエけど、仕送りが無いと食っていけない!って兄を脅す・・・...
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
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